コンプライアンスとは、法令遵守を行うことだけではなく、各企業が事業を継続するために重要な規範や基準を遵守することも含まれます。介護に関する事業はとても公益性が高いサービスであるため、立場が弱い高齢者などの利用者が、不利益にならないような健全な運営体制が求められています。
介護業界のコンプライアンスを意識するうえで最も重要な法は介護保険法です。介護保険法とは、介護施設やそこで働く職員に対しての行動規制を定めたものです。介護が必要になった人でも、自分らしさを大切にしつつ、自立した生活の継続ができることを目指して制定されました。
介護業界の中で起きるコンプライアンス違反の中で、発生率が高いのが、この介護保険法に関する違反です。介護保険法には人格尊厳義務という、介護職員は、利用者の立場を考えながら業務にあたらなければならないことが義務付けられた項目があります。
しかし、介護の現場では、この人格尊重義務違反というコンプライアンス違反が頻発しており、それが業界内の大きな課題となっています。
介護の仕事は人間同士の関わり合いが必須であるため、当たり前のように相性の問題が発生します。人格尊重義務違反は、職員側が全面的に悪いという事例も存在しますが、職員と利用者の関係悪化により、仕方なく発生してしまうこともあります。つまり、ちょっとしたすれ違いが発生したことを放置してしまうと、コンプライアンス違反という大きな問題に発展する可能性があるということです。
介護職員として勤務する際は、自分の行動がコンプライアンス違反に該当しないか、常に振り返ることが大切なのです。